mother lakeのほとりにて

短歌のこと、身のまわりのことを

贈られた歌集「海盆」より

松原あけみさんより歌集「海盆」を頂きました。

深い海を思わせる青が美しい歌集です。

 

狼も赤頭巾も吊されて脱力してをり川沿ひをゆく

うすあをく緑茶を淹れてゐたころの母に会ひたしふいに訪ねて

鳥の巣がみえるみえるといふたびに能因塚の葉叢濃くなり

横長の紙やはらかき歳時記に旧姓のまま私がをりぬ

眠りの川にながされながら書きし字のわたしはきのふ何をおもひし

いちまいの喪中はがきと蝦夷ウサギ二十六匹を交換してゐる

天井のたかき倉庫のどこからか光が鬼をまだらに照らす

「ご安全に」が夫の職場の挨拶でありしを長く知らずにをりき

海盆は海の平らなところなりくぢらも載せむ月夜ものせむ

重ね方まちがふともう入らないガラスのボウル、日暮れの棚に