mother lakeのほとりにて

短歌のこと、身のまわりのことを

永田和宏氏の歌集「午後の庭」より

永田和宏氏の歌集「午後の庭」より、好きな歌の中から10首.

 

よく生きたよくやつたよと告げたきにこの世の夏がまた巡りくる

コスモスの揺れの間に間に見えてゐし日本手拭があなたであつた

貼り薬背中に三枚張りつめてさあ寝ておいでとありしあの頃

亀だつてときには腹を干したからう裏がへる亀を見しことなけれど

誰のこゑも聞こえぬ家になりたれば野良猫(のら)引き入れてしきりに喋る

手鞄に句帖印鑑整頓し開くことなく父は逝きにき

ひよつとしてあなたなのかと思ふまでこの白黒の猫のわがまま

われさきに四人子(よたりご)駆け来 最後なる末の子を待ちまづ抱き上ぐる

YouTube舟木一夫を呼び出してそろそろあぶない今夜の酔ひは

眠つてもいいけど凭れてこないでねお相撲さんが私の横に