mother lakeのほとりにて

短歌のこと、身のまわりのことを

贈られた歌集「ふた束の水仙」より

ダンバー悦子さんから歌集「ふた束の水仙」を頂きました。

オレンジの暈しに金色の小花が咲く美しい歌集です。

 

あの夏のグラジオラスの花の色思い出せない母といた夏

娘待つ駅の構内銃担ぐ兵士の群れとすれ違う夜

婚約とこんにゃくの違い甘辛い舌ざわりのニャが決め手であるやも

米国のために戦えるかと問う市民権取得の申請用紙は

いるだろう家族の気配消しているギターリストのラテンの眼

恋をするエネルギー足で決まるらし階段五十を上る午後五時

上弦の月見上げれば戦ある世を見下ろされてるような文月

最後まで母は母のままでいた本棚に残る聖書のように

レジを打ちつつ拍子とるおみな子を春の陽気は許してしまいぬ

妻である我に甘えることもなく死にたいように逝ってしまえり